「何その顔。この家に住むのが不満か?」

「そうじゃないけど・・・。本当にこんな家に住むことになるんだなって思って。」

「ふーん。」

「何それ。きいてきたわりには、反応薄いじゃん。」

「別に。俺はずっとこの家に住んでたからな。わかんねー気持ちなんだよ。」

・・・何それ。

そりゃ、金持ちだもんね。

「んじゃ、あんま待たせてもわりーから、行くか。」

「うん。」

パソコンを、起動さしたままで

なぜかあたしの肩に、腕をまわして部屋を出ようとする悠。

「何で、腕まわしてんのよっ!」

「いいだろ?許婚なんだから。」

「あたしはまだ、認めてないってのっ!」

「俺の何が嫌なんだよ?」

うわ・・・。

自信満々。

ちょー俺様で、ちょーナルシじゃん。

こいつ。

「ナルシストなとこ。」

「そこがいーんだろーが。」

「あたしは、よくないの。」

あったりまえ。

こんなナルシと付き合うなんて嫌。

そりゃ、周りから見れば

羨ましいのかもしれなけどさ・・・。

ナルシだし、俺様だし、イカレ発言ばっかりだし・・・。

どこがいいの?

「んじゃ、お前に俺のこと、大好きって言わせてやる。」

「言わないってば、そんなこと。」

「言わせる。」

「言わない。」

「言え。」

「嫌よ!」

もー、しつこいっ!

言わないって言ってるじゃんかっ!

「絶対言わすから。」

あたしの耳元で、そっと囁く。

「な、なにすんのよっ!」

「別にーっ。ほら、早くこいよ。」

「わかってるってばっ。」

悠の後に続いて、

廊下を歩く。ちなみに、めっちゃ長い。

「ここ?」

「あぁ。」

・・・やっと着いたようだ。