あたし、舞川琶炉〔まいかわはろ〕。

今日から、羽爾野森高校〔はにのもり〕に通う、

ピッカピカの高校1年生。

「琶炉ー。準備出来てるのー?」

「もう出来てるってば。」

「ならいいわ。ちょっときて?」

くぃくぃ、と手招きして、あたしを呼ぶ母さん。

ったくこの朝忙しいときに・・・。

と思いながらも、しょうがなく近づいていく。

「なにー?母さん。」

「あのね、言わないといけないことがあるの。」

「何?」

「落ち着いて、きいてよ?」

「わかってるって。」

もーっ!

前置きが、長いっ!

早く話せってのっ!

「今日で、この家。引っ越すことになったの。」

「えっ!?」

なんて言った?この人っ!

引っ越す?

んな金、ないだろーがっ!

「母さん?何いってんの?」

あたしは、

頭大丈夫?といわんばかり

母さんにきいた。

「あのね、あんたが入学した学校のね。」

「うん。」

「その、跡取りさんが、あんたの許婚なの。」

はっ!?

いい名づけって・・・。

なんじゃそりゃっ!

「なんで、あたしにいい名づけがいるの?」

「それはー・・・。その・・・。」

しどろもどろ、と言い訳を考えている

母さん。

いい名づけとか、意味わかんないってのっ!

「と、とにかく、学校に行って・・・?」

「わかったっての。後で、ちゃんと説明してよね。」

もう時間ないもん。

走んないと、遅刻かも・・・。

あたしは、バックを手にとって、

家を飛び出したのだった。