金森絹江は、どことなく、とっつきにくい、隙のない、多分、静香がいちばん、苦手とするタイプだろう。

化粧っ気のない顔にフレームの目立たない眼鏡をかけているが、かなりの美人だ。


「では、金森先生、藤堂先生を教室まで案内してあげて下さいね」

「はい…」


にこりともせずに金森先生は、きびすを返して校長室のドアを開けた。


静香は、一瞬だけど宝塚歌劇団の男役が金森先生とタブって見えた。


金森先生は、その位、精悍だった。


「私たちが担任する教室は、建物のいちばん端にあります」


「はい……」