「どうされたんですか?廊下の方まで、あなたたちの声が響いてましたよ」


2人は、校長先生が入って来たことにも気付かず、言い合っていた。


「金森先生、藤堂先生は、昨日、着任されたばかりなのですから、お手柔らかにお願いしますよ」


「すみません」


金森先生の般若が能面に戻っていた。


「金森先生、ちょっと、藤堂先生をお借りしますよ。よろしいですね」


「はい……」


静香は、金森に軽く会釈すると、校長の後に続いた。


校長室に入ると校長先生は、おもむろに珈琲豆を挽きだした。