わたしとあなたのありのまま ‥3‥

浅野先生は今しがたまで、板書に暗号のような得体の知れない単語を書きまくって、熱く語っていた。


授業開始と同時に配られたプリントは、今気付いたけど感想用紙だ。

面倒臭い。



どうしてうちの高校は、芸術科目が選択じゃないんだろう……。



そんなことを考えながら、半紙と睨めっこをしていると、

「謝ったら?」

と、綾子の尖った声が、私の鼓膜にズボッと突き刺さった。



チッと、心の中だけで舌打ちして、ゆるゆると隣の綾子に視線をやれば、気怠そうに頬杖をついた綾子が、冷ややかに細めた目をこちらに向けていた。


そして、

「手遅れになる前に謝った方がいんじゃない? 照くんは絶対怒らないけどさ、指摘とかされたら、私は直そうって努力するけど? だって、嫌われたくないもん」

と続けた。