全身が凍りついたように固まってしまって、ただただ、田所を見詰めていた。
そしたら、不意に田所の顔が近付いて来て、それは私の顔の横でピタリと静止する。身体がピクッと跳ね、お尻のすぐ後ろにある机が、カタッと小さな音を立てた。
「悪かったなぁ、彼女をろくに満足させてやれねぇ彼氏で」
耳元で田所が、冷たく小さく囁いた。
田所は身を起こして、もう一度じっと私を見下ろす。けれどすぐ、フイと顔を逸らし、その身を横へと滑らせ私と椅子の間から抜け出た。
静かに身を翻して背を向け、歩き出した田所。私を一度も振り返ることなく音楽室を後にした。
「ごめーん、ちょっと遅れちゃったー」
反省なんかちっともこめられていない謝罪を朗らかに口にし、音楽教師の浅野先生が田所と入れ違いに入って来た。
皆がそれぞれ自分の席に着く中、綾子は私の左隣に腰掛ける。
そしたら、不意に田所の顔が近付いて来て、それは私の顔の横でピタリと静止する。身体がピクッと跳ね、お尻のすぐ後ろにある机が、カタッと小さな音を立てた。
「悪かったなぁ、彼女をろくに満足させてやれねぇ彼氏で」
耳元で田所が、冷たく小さく囁いた。
田所は身を起こして、もう一度じっと私を見下ろす。けれどすぐ、フイと顔を逸らし、その身を横へと滑らせ私と椅子の間から抜け出た。
静かに身を翻して背を向け、歩き出した田所。私を一度も振り返ることなく音楽室を後にした。
「ごめーん、ちょっと遅れちゃったー」
反省なんかちっともこめられていない謝罪を朗らかに口にし、音楽教師の浅野先生が田所と入れ違いに入って来た。
皆がそれぞれ自分の席に着く中、綾子は私の左隣に腰掛ける。



