わたしとあなたのありのまま ‥3‥

田所は椅子に腰かけたまま、向き合って立つ私の左手首を、そっと包み込むように握った。


「ほのかと一緒に居たい」

捨てられた子犬みたいに寂しげな瞳で、とんでもない駄々をこねる。



なんだかもう……こういうのもイヤ。



腕を曲げて、田所の手を振り払うように、掴まれている左手を上げた。



「浮気なんかしないって。する訳ないじゃん。だからもう、いつもの田所に戻ってよ」


今の思いをそのまま口にしたら、たちまち田所の顔から表情が消えて、ちょっとだけ怯む。



田所がスッと立ち上がって、視線の高さが逆転した。そして、

「浮気の心配なんかしてねぇわ」

冷たいほどの無表情で私を見下ろし、静かに低く呟いた。



じゃあ一体、何なんですか? どうしてですか? この異常なほどの執着ぶりは?

疑問と不満が私の中でモコモコ膨らんで、またそれが新たな不満を生む。