「おめぇら……。授業さぼって、何、こんなとこでイチャついてんだ、ああ?」
不意にドスの利いた声が飛んできて、たちまち夢の中から現実に引き戻された。
二人同時にほんの少しだけ身を離し、声のした方へ視線をやれば、酷く呆れた顔の鵜飼先生がこちらに向かって歩いて来る。
鵜飼先生は私たち三年生の生徒指導主任。数学教師のはずなのに何故かいつもジャージ姿。
厳つい顔に厳つい身体。校内を我が物顔で練り歩く姿は、さながらチンピラの様だ、怖い。
ぐんぐん近付いて来るから、あまりの恐怖に掴んでいた田所の両腕の袖をぎゅっと握った。
「つってもまだ離れねぇか? おめぇらはSとMかっ」
「うっわ、センセ、卑猥。健全な青少年の育成に差し支えるし。けど――
俺らは至ってノーマルです」



