「お菓子なんか持ってないって」

リュックに必死でしがみ付き、頑張って言い返した。


そしたら田所は、私の顔を大きな片手でむぎゅうと掴んで、

「お前、思いっ切し頬張ってんだろーが。その菓子、どこやった? ケチケチしねぇで出せよ」

その綺麗な奥二重の目を冷ややかに細めて言う。



「何? その遠回しな悪口っ! このホッペのこと、『ふっくらしてて可愛い』って言ってくれる人だっているんだからね!」

もちろんそんなの女子オンリーですけど。



「ああ、あいつか。あのモヤシメガネか。あいつとはもう、そういう話する仲か」

たちまちブスッとふて腐れて、田所は掴んでいたリュックもあっさり手放した。



あっ、地雷踏んだっぽい。やっべ……。