わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「いやん」

思わず、バカみたいな心の声が漏れた。


だって……甘過ぎる。

偉そうな命令口調なのに。いいえ、だからこそ余計に甘いんだ。身も心もとろけてしまいそう。



「何が『いやん』だ、気持ち悪ぃ」

と、冷ややかに吐き捨てる未だ不機嫌度マックスの田所に、迷わずぎゅうと抱き付いた。


それに応えるように田所も、両腕を私の腰とうなじに巻き付けて、ぎゅっと抱き締め返してくれた。



「素直に『浮気すんなよ』って言えばいいのに」

田所が絶対に言いたくない言葉だってわかっていて、わざと意地悪で言ってやる。



けれど。


「浮気すんな。したら泣く」

耳元で掠れた声に囁かれ、私の頭ん中は糖分過剰でトロトロになってしまった。