わたしとあなたのありのまま ‥3‥

えっ? ええーっ?


もしかして……。

田所の目には、私が『セレナ・ゴメス』に映っている?



何てことでしょう。

私の姿が『セレナ・ゴメス』へと、田所の脳内で奇跡の変換を遂げていた。



ふっ……バカじゃん、田所。恋は盲目だぜ、田所。



けれど。


「――んな訳……」

耳元でまたあの、おぞましい重低音が小さく響く。


「ねぇだろーが!」

腹立たしげに唸って、田所はガバリと顔を上げる。



「あ、やっぱり?」

笑って誤魔化そうとしたけど、私のとんでもない勘違いを田所が見過ごすはずもなく。



「なーにが『あ、やっぱり?』だ。ふざけんな」


『あ、やっぱり?』のところは、ちっとも似てない私のモノ真似。すっごいムカつく。