わたしとあなたのありのまま ‥3‥

案の定、クチビルは鼻を鳴らして笑うと、

「オッケ、わかった。そうする。

――ってことで……。いいかなぁ? もう行っても」

笑いを噛み殺しながらもそう言うと、田所の顔色を窺うように見た。



「いいよ」

子どもみたいな田所の返事に、思わず吹き出しそうになったけど、何とか踏ん張って堪えた。





とにもかくにも仮想修羅場は無事終息を迎え、誰も居ない廊下に田所と私だけが取り残された。


しんと静まり返ったと思ったら、お昼休みが間もなく終わることを告げる予鈴が鳴り響く。



そう言えば。

田所は教室に戻ったんじゃなかったっけ?



「どこ行ってたの?」

田所がスルリと解いた腕を慌てて捕まえ尋ねれば、

「ショーン・ベン」

と、伏し目がちに私を見下げて、涼しい顔で答えた。