わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「ちょい、待てって、アンジー」

田所がそんなクチビルをすかさず呼び止めた。



誰がアンジー(アンジェリーナ・ジョリー)だ。『セクシー唇』しか被ってねーし。

というか、コイツの唇はセクシーでも何でもねーしっ!



もちろんクチビルは何となく振り返るも、キョトン顔。


「俺?」

自分を指差して、不思議そうに小首を傾げた。



「お前しかいねぇだろーが」

平然と田所は肯定し、

「今後は、クラス運営に必要な連絡事項以外、ほのかに話し掛けんなよ?」

やけに真面目くさった顔で、独占欲剥き出しの言葉をシレッと吐いた。



ああ、何か田所ってイタイ……。私はあなたが思っているほどモテないんです、正直。


クチビルにとって、私は『数撃ちゃ当たる』のうちの一人に過ぎないんです。

全部、あなたの思い込みです。修羅場なんか、最初から存在しないのです。