わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「誰よ? それ」

「ほのかだろ」

「全然似てない。てか、そんなことミジンコも思ってないから」

右腕は田所の左腕に絡めたまま、空いている左手で、田所が装着しているマスクを掴んで思いっきり引っ張った。そしてすぐ、その手を放してやれば、それは勢いよく田所の口元に戻り、パン、と小さな衝突音が鳴った。


「ってっ! おまっ、俺が病人ってこと忘れてんだろ?」

「忘れてない。でも今のは聞き捨てならない。私がどんだけ苦しんだか、田所はわかってない」

「わかってんだよ、そのぐらい。最後まで聞けって」

「何?」



「お前って、バカみたいに俺しか見てないけど、そういう俺も――

――バカみたいにお前しか見てないから」



きゅうーん。



高熱に冒された田所は、極上に甘い。



「やばっ、しんどっ、死ぬ」

「死なせない、まだ死なせない。もっと一杯甘い言葉プリーズ!」

「バカじゃねぇの?」

「プリーズ、プリーズ、プリーズ」

「…………。あんドーナツにハチミツ一瓶ぶっかける」

「ちょっと、何それ? 単に甘い物質言っただけじゃん!」



やっぱり甘くない……。





わたしとあなたのありのまま ‥3‥
h25.12.16 Fin.