わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「他の男しか見えてない子じゃなくて、僕だけを見てくれる子を探そうと思う」

言って進藤くんは、ふわっと、柔らかい笑みを浮かべたけど、その言葉には強固な意志が込められているように感じた。


突然に鳴り響いた予鈴が、午後の授業が間もなく始まることを告げる。


進藤くんはクチビルの方に向き直り、

「そろそろ行こうか? えっと……誰だっけ?」

申し訳なさそうに尋ねる。


「松永です。以後、お見知り置きを」

ムッとしながらも、素直に名乗ったクチビル。でもやっぱり、余計な一言を添えるのは怠らない。


そうして、私たちに背を向け校舎に向かって歩き出した二人。


「進藤!」

なのに、どうしてだか田所が呼び止める。


まだなんかあるの? もういい加減にしてよ。

ちょっとうんざりしている私なんぞ余所に、立ち止まって振り返った進藤くんに、田所は速足で近寄った。


「ティッシュ、ありがとう」

ポケットティッシュを進藤くんに差し出して礼を言う。


「いいよ、あげる。二人の揺るぎない愛を祝して、僕からの餞別」

冗談っぽくそう言って、素敵な笑顔を見せた進藤くん。その言い回し……何故だろう、すごく嫌な予感がする。