わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「田所の鼻水が、汚いわけないでしょーがっ!」

クチビルのその態度が無性にムカついて、思わず叫ぶように言い返した。


「そうだぞ、俺の鼻水は南アルプス……」

「黙って!」

すかさず私に便乗しようとした田所に、ピシャリと言い放つ。


「これは、私が責任を持って処分します」

真面目くさってそう言い、田所の鼻水と、更に土まで付着した汚物以外の何物でもないそれを、自分のスカートのポケットに突っ込んだ。


「うぇー」

クチビルがドン引きしたみたいだけど、どうでもいいわ、そんなの。


「で? 田所くん、何しにわざわざ学校まで来たの? 風邪でしんどいのに」

進藤くんはクチビルとは違い、穏やかな微笑みを浮かべ、田所に優しく尋ねた。


「僕に……」

更に続けて、チラとクチビルの方を見た進藤くん。


「僕たちに、何か言いたいことがあるんでしょ?」

そして、わざわざ言い直した。クチビルなんかに気を遣わなくてもいいのに。


訊かれた田所はキョトン顔。多分、何をしに来たのか、自分自身わからないんだろうなぁ……。


でも突然、何かを思い付いたみたいにハッとして、グイと、ちょっとだけ乱暴に私の肩を掴んで引き寄せた。

不意をつかれ、たちまち燃えそうなほどに顔が火照る。


「ちょっ、田所?」

見上げれば、田所の顔も有り得ないぐらいに紅潮している。密着している部位から、田所の体温も伝わってきて。というかこれは……。