わたしとあなたのありのまま ‥3‥

嬉しいけど、でも……。風邪こじらせたらどうすんだよ? と、心配の余り腹が立った。


「田所、こんなとこで何やってんの?」

思わず、そんな可愛くない言葉が口を衝いて出てしまう。


「何って……」

困ったように眉尻を下げて、田所は口籠った。責めているわけじゃないのに。


「僕が秋山さんの傍に居るって知って、心配になってここまで来ちゃったんだよね? 風邪で死にそうなのにね?」

進藤くんはからかうように言うと、声を漏らして笑った。


「進藤、てめぇ……」

攻撃的にそこまで言いかけた田所だけど、突然、思い直したように態度を変えて、

「進藤くん、ティッシュ持ってない?」

柔らかな声色(でも鼻声)で尋ねながら進藤くんに近付き、右手を彼に向かって差し出した。


「しょうがないなぁ」

なんて言いながらも、進藤くんは何故だか嬉しそうに微笑んで、自分のブレザーのサイドポケットを探る。そして、中から取り出したポケットティッシュを田所に手渡した。


田所はそれを受け取ると、ティッシュを三枚、立て続けに引き出した。そしてマスクを少し下へとずらし、ブーン、ブーン、と周りの目なんか一切気にすることなく豪快に鼻をかむ。

そうして分泌物がたっぷり付着しているだろうそれを、くしゃっと丸めた田所は、不意に進藤くんへと視線を戻した。