わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「や、やだなぁ、田所くん。ちょっと秋山さんに、五限目が何だったか聞いただけだって。なっなぁ? 秋山?」


「この人私に、『今よりもっと、俺に惚れさせてやる』って言った」

クチビルを指差して田所に告げ口してやった。だって、話を合わせてやる義理なんかないから。

散々私のことコケにしたんだ、当然でしょう。



「へぇ……そう」

田所はどうでも良さそうに相槌を打ち、けれど目を細め、閉じた唇は緩やかに弧を描く。


何が可笑しいんだ。ちっとも面白くなんかないじゃん。

怒ってよ、田所。こいつ、私に『田所と別れて俺と付き合え』って言ったんだよ?



「じょ、冗談だって、冗談! 冗談に決まってんだろ? あらららら、秋山さんって意外に自意識過剰なのかなぁー?」


「どっちがだよっ!」


もうほんっとに頭にきた。


一発殴ってやろうと一歩踏み出したら、田所に背後から巻き込むように片腕で抱き竦められて、その優しい力強さに動きを封じられた。