「や、やだなぁ、田所くん。ちょっと秋山さんに、五限目が何だったか聞いただけだって。なっなぁ? 秋山?」
「この人私に、『今よりもっと、俺に惚れさせてやる』って言った」
クチビルを指差して田所に告げ口してやった。だって、話を合わせてやる義理なんかないから。
散々私のことコケにしたんだ、当然でしょう。
「へぇ……そう」
田所はどうでも良さそうに相槌を打ち、けれど目を細め、閉じた唇は緩やかに弧を描く。
何が可笑しいんだ。ちっとも面白くなんかないじゃん。
怒ってよ、田所。こいつ、私に『田所と別れて俺と付き合え』って言ったんだよ?
「じょ、冗談だって、冗談! 冗談に決まってんだろ? あらららら、秋山さんって意外に自意識過剰なのかなぁー?」
「どっちがだよっ!」
もうほんっとに頭にきた。
一発殴ってやろうと一歩踏み出したら、田所に背後から巻き込むように片腕で抱き竦められて、その優しい力強さに動きを封じられた。
「この人私に、『今よりもっと、俺に惚れさせてやる』って言った」
クチビルを指差して田所に告げ口してやった。だって、話を合わせてやる義理なんかないから。
散々私のことコケにしたんだ、当然でしょう。
「へぇ……そう」
田所はどうでも良さそうに相槌を打ち、けれど目を細め、閉じた唇は緩やかに弧を描く。
何が可笑しいんだ。ちっとも面白くなんかないじゃん。
怒ってよ、田所。こいつ、私に『田所と別れて俺と付き合え』って言ったんだよ?
「じょ、冗談だって、冗談! 冗談に決まってんだろ? あらららら、秋山さんって意外に自意識過剰なのかなぁー?」
「どっちがだよっ!」
もうほんっとに頭にきた。
一発殴ってやろうと一歩踏み出したら、田所に背後から巻き込むように片腕で抱き竦められて、その優しい力強さに動きを封じられた。



