わたしとあなたのありのまま ‥3‥

『……ってことで、もういいっすかぁ? その話はまた今度、ゆっくり聞いてやるから』

だがしかし、意味わからんとこで上目線。ムカつく。



「なに勝手に自己完結しちゃってんの? まだ私、何も言ってないよ? どっちかわかんないよ? でもどっちでも、田所の気持ちは変わんないんだよね?」

悔し紛れに、敢えて結果を濁すようなことを言って、意地悪してやった。


『違うのかよ?』

心なしか動揺した風な田所の声。それにすっかり満足した私は、『違わないよ』とすぐにネタばらしをしてあげようと思ったんだけど……。


ベンチに座る私のすぐ傍に、誰かが立った。視線を上げてみたらば、それは進藤くんで。

何か物言いたげな深刻顔で、こちらをじっと見詰めていた。どうやら進藤くん、私が電話を終えるのを忍耐強く待つつもりみたいだ。


なんだか申し訳ない気がして、

「ごめん、なんか進藤くんが私に用があるみたいだから、一旦切るね?」

ついうっかり、田所に余計な情報まで漏らしてしまう。


『待て、今何て? てかお前、今どこ?』

「学校に決まってんじゃん」

『ああそうね、決まってるよね。だからー、学校のどこよ?』

執拗に詮索する田所。進藤くんは進藤くんで、右手をひらひらさせながら、『いいよ、待ってるから』と口の動きだけで伝えてくる。


いやでも、進藤くんがそこに居たら話し辛いでしょ、実際。