わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「顔なんか見えてないじゃん」

すかさず言い返せば、

『用がねぇなら切るぞ? 頼むから、安らかに眠らせてください』

田所は、心底迷惑そうな丁寧口調で懇願。――とここで、ようやく電話した目的を思い出した。


「待って! 用があるから電話したんだってば。てか、インフルは大丈夫?」

『病院で検査したけど、それはセーフ』

毒吐きまくりながらも、何だかんだちゃんと答えてくれる田所が、やっぱり私は大好きで。


「田所、会いたい」

『用件、それ?』

「はい」

『断る』


でしょうね、うん。予想通りだから、全くもってノーダメージ。



「会って、報告したいことがあります」

わざとらしく真面目くさって言ってみた。だってそれぐらいしないと、今の田所は全然取り合ってくれなさそうだから。


しばしの沈黙。そして、

『ああ、昨日言ってたことか』

と、どうでも良さそうに軽く返される。


「何? その言い方! 大事なことでしょーがっ」

思わず、躍起になって言い返してしまった。相手は病に伏しているというのに。


『そのテンション……わざわざ聞かなくてもわかるって。そして俺――

お前のこと信じてたから』


くぅ……。風邪に殺されかかっているくせに、イッチョマエにそんな甘い言葉を吐けたりするんですね。


田所さんよぉ、私も死にそうだぜ。

キュン死、しそうだぜ。