わたしとあなたのありのまま ‥3‥

結局、煙たいのが苦手な私は、少し離れた場所にあるベンチへ向かう。いつもは田所と二人で腰掛けるんだけど、もちろん今日は一人。

でも寂しくなんかない。というか、田所のことが気になって気になって、それどころじゃないっていうのが実情。



電話……掛けてもいいよね?

まさか一晩で田所の気持ち、変わったりしないよね?


愛しい名前を携帯の画面に表示し、恐る恐る発信ボタンを押した。


コール音が延々鳴り続く。

ちっとも出てくれない。やっぱり田所、心変わりしちゃった? 私の中の不安がみるみる積もっていく。


が、やがてコール音は止み、

『…………あー……』

小さくて低い、唸り声みたいなのが聞こえた。


「あっ」

『あっ、じゃねぇわ、人を起こしといて』

「寝てたの?」

『当たり前だろ。風邪ひいて死にそう』

「ごめん……」


寝てる、という発想はなかったです。そして風邪をひいてる、という発想も。

だって田所、バカだもん。でもこれは言えない。



「大丈夫?」

『……なわけねぇーだろ!』

キレ気味に返してきた田所。だけど……。


「田所の鼻声、可愛い」

突然に沸き起こったきゅるるんが抑えきれず、思わずそんなことを口走ってしまい、

『てめ、ふざけんのは顔だけにしろ』

更に田所の怒りを買った模様。