結局、煙たいのが苦手な私は、少し離れた場所にあるベンチへ向かう。いつもは田所と二人で腰掛けるんだけど、もちろん今日は一人。
でも寂しくなんかない。というか、田所のことが気になって気になって、それどころじゃないっていうのが実情。
電話……掛けてもいいよね?
まさか一晩で田所の気持ち、変わったりしないよね?
愛しい名前を携帯の画面に表示し、恐る恐る発信ボタンを押した。
コール音が延々鳴り続く。
ちっとも出てくれない。やっぱり田所、心変わりしちゃった? 私の中の不安がみるみる積もっていく。
が、やがてコール音は止み、
『…………あー……』
小さくて低い、唸り声みたいなのが聞こえた。
「あっ」
『あっ、じゃねぇわ、人を起こしといて』
「寝てたの?」
『当たり前だろ。風邪ひいて死にそう』
「ごめん……」
寝てる、という発想はなかったです。そして風邪をひいてる、という発想も。
だって田所、バカだもん。でもこれは言えない。
「大丈夫?」
『……なわけねぇーだろ!』
キレ気味に返してきた田所。だけど……。
「田所の鼻声、可愛い」
突然に沸き起こったきゅるるんが抑えきれず、思わずそんなことを口走ってしまい、
『てめ、ふざけんのは顔だけにしろ』
更に田所の怒りを買った模様。
でも寂しくなんかない。というか、田所のことが気になって気になって、それどころじゃないっていうのが実情。
電話……掛けてもいいよね?
まさか一晩で田所の気持ち、変わったりしないよね?
愛しい名前を携帯の画面に表示し、恐る恐る発信ボタンを押した。
コール音が延々鳴り続く。
ちっとも出てくれない。やっぱり田所、心変わりしちゃった? 私の中の不安がみるみる積もっていく。
が、やがてコール音は止み、
『…………あー……』
小さくて低い、唸り声みたいなのが聞こえた。
「あっ」
『あっ、じゃねぇわ、人を起こしといて』
「寝てたの?」
『当たり前だろ。風邪ひいて死にそう』
「ごめん……」
寝てる、という発想はなかったです。そして風邪をひいてる、という発想も。
だって田所、バカだもん。でもこれは言えない。
「大丈夫?」
『……なわけねぇーだろ!』
キレ気味に返してきた田所。だけど……。
「田所の鼻声、可愛い」
突然に沸き起こったきゅるるんが抑えきれず、思わずそんなことを口走ってしまい、
『てめ、ふざけんのは顔だけにしろ』
更に田所の怒りを買った模様。



