「瀬那くんを探してなんか……」

慌てて否定しようとしたけど、そんな大嘘、照哉くんにはきっとバレバレだ。


「瀬那くんに、暇つぶしの相手してもらおうと思ったのに。綾子たちの邪魔しちゃ悪いし」

恩着せがましくも、『二人に気を遣ってんですよ』アピール。



「ほのかちゃん、瀬那くんとも一悶着あったみたいだもんね? ああそれで、親睦深めちゃったりした?」

照哉くんの、奥歯に物が挟まったような言い方に、すかさず綾子が過剰反応。


「なに? それどういう意味? 瀬那くんとほのか、何かあったの?」

「何もないって」

即刻否定。押し倒されたなんて、絶対言わない。話がややこしくなるだけだもん。

せっかく『なんちゃって』浮気騒動が終焉を迎えようとしているのに、無駄に波風立てるようなことしてたまるかっつーのっ。



「あれ? そうなの? じゃあ瀬那くんが悠斗に言ってた、『お前がそんなんだったら、俺が貰っちゃうよ?』ってヤツ、あれはほのかちゃんのことじゃなかったんだ?」

照哉くんがまたも、意味深な言い方をして含み笑い。


「瀬那くんがそんなこと……。

いや、言う訳ない。あっぶな、うっかり騙されるとこだった」


「瀬那くんも、ほのかのことが好きなの?」

我慢しきれずといった感じで、綾子が横から口を挟む。