けれど冬以は、そこには一切触れず、言葉を続けた。
『アイツと少しだけ喋った時、粋がってるだけで、中身はヘタレの小っちゃいヤツだと思った。正直チョロいって』
「むう……」
しまった、また変な声が出た。
そしてまた、それに対しての冬以のツッコミは当然のようにないわけで。
『だけど違った。アイツ、俺の想像を遥かに超えるイイ男だった。俺も惚れそうだし』
冗談っぽく言って冬以は笑った。
いや、冗談に決まっている。冗談じゃなきゃ困る。冬以の次なるライバルが私だなんて、そんなことになったら、それこそ大惨事だ。色んな意味で……。
『だから、アイツなんだよね? 自己中で我儘なほのかには、アイツなんだ。この世でほのかを愛す資格があるのは、アイツだけなんだ』
一人勝手に納得した風な冬以。
冬以め、それとなく私への中傷を織り交ぜやがって。でもその言葉で、とんでもなく幸せな気持ちになってしまう私は、やっぱり単純バカなんだと思う。
『完全に俺の負けだ』
自虐的発言のはずなのに、冬以は吹っ切れたように、清々しい声色で言った。
「こういうのって勝ち負けじゃないと思うよ?」
慰める、とかそういうつもりは更々なくて。なんか違うなって思ったから。
『アイツと少しだけ喋った時、粋がってるだけで、中身はヘタレの小っちゃいヤツだと思った。正直チョロいって』
「むう……」
しまった、また変な声が出た。
そしてまた、それに対しての冬以のツッコミは当然のようにないわけで。
『だけど違った。アイツ、俺の想像を遥かに超えるイイ男だった。俺も惚れそうだし』
冗談っぽく言って冬以は笑った。
いや、冗談に決まっている。冗談じゃなきゃ困る。冬以の次なるライバルが私だなんて、そんなことになったら、それこそ大惨事だ。色んな意味で……。
『だから、アイツなんだよね? 自己中で我儘なほのかには、アイツなんだ。この世でほのかを愛す資格があるのは、アイツだけなんだ』
一人勝手に納得した風な冬以。
冬以め、それとなく私への中傷を織り交ぜやがって。でもその言葉で、とんでもなく幸せな気持ちになってしまう私は、やっぱり単純バカなんだと思う。
『完全に俺の負けだ』
自虐的発言のはずなのに、冬以は吹っ切れたように、清々しい声色で言った。
「こういうのって勝ち負けじゃないと思うよ?」
慰める、とかそういうつもりは更々なくて。なんか違うなって思ったから。



