わたしとあなたのありのまま ‥3‥

感情の赴くまま、余計なことまで口走ってしまう。言い終えてからハッとして、空いている方の右手で口を塞いだけど、時すでに遅しで。


『ああ、そのこと』

私の真意を知った冬以は、納得したように、どこか呆れたように呟いた。


『結局ほのかは……自分のこと――っていうか自分たちのこと? しか考えてないよね? そういうのを『自己中』って言うんじゃなかったっけ?』

言って冬以は、小さな嘲笑を漏らした。その嫌味ったらしい言い草にカチンときた。


「何とでも言えばいいよ。私が自己中? 我侭? そんなの何百回と言われてきたから、今更だよ。だからお願い。冬以の都合に合わせるから……」

『してないよ、なんにも』

私が喋っている途中で、また被せるように冬以が言葉を発した。


「え?」

『俺は、ほのかを抱いてない。キスもしてない。当然、同意も得てない』

「どういうこと?」

『『どういうこと?』って、そういうことだよ』

「酷いじゃん、冬以! 騙したの?」

『人聞きの悪い言い方すんなよ。俺、ほのかと『シた』なんて一言も言ってないよね?』


瞳の奥からじわり、悔し涙が滲み出す。けれど唇を噛み締めて、それが溢れ出すのを意識的に堪えた。