わたしとあなたのありのまま ‥3‥

必死でもがいているのに、実質的には無抵抗だというこの状況。

まさか……まさか瀬那くん、これを同意とみなしたりしないよね?



けれど――


「ほのか、愛してる」

瞼を軽く伏せた瀬那くんの顔が間近に迫る。


『愛してる』って……。瀬那くん、一方的に行為を開始しちゃった?

このままじゃキスされる。そんなのイヤだ。誰か助けて。



危機一髪のところでヒーロー参上なんて、そんなご都合主義展開があるはずもなく。

回避するすべもなくて、ただ、祈る思いで硬く目をつぶった。



ゴツッ――

額に鈍い衝撃。


それは大して痛みは感じなかったけど、予想外の事態にびっくりして、反射的に目を見開いた。



「ほのちん、油断しすぎ。そんで、男ナメすぎ」

瀬那くんはそう言って、いつもの悪戯っぽい笑顔を見せた。


私の上から素早く身を引いた瀬那くんは、元居た部屋の真ん中に胡坐をかいて座り直す。



何? 一体、何が起こってんの?


状況がさっぱり呑み込めず、だけども拘束を解かれた今、床に寝転んでいる理由もないので、私もゆるゆると起き上がった。



伸ばした右腕を、肘を折った左腕で胸の前に抱え、何やら準備体操みたいなことをしながら、

「俺って俳優になれんじゃね?」

瀬那くんはニッと満足げに微笑んだ。