「そんなの、瀬那くんだって知り尽くしてる訳じゃないでしょ?」
追い付いて、引き留めるように瀬那君の袖を両手で掴む。
「見くびってもらっちゃ困るな。ほのちんよりは何億倍も知ってっからね? 早くほのちん、オープン、ザ、ドアー」
「『何億倍』って……」
心底呆れて、それ以上言葉を続けられなかった。
扉を右手人差し指で何度もタップしながら、「ピーンポーン、ピポピポピポ、ピーンポーン」などとやっている瀬那くんを眺めながら、
この人、若干18歳にして、一体何人の女を抱いてきたんだろう……。
なんてことを本気で思った。
渋々鞄の中から鍵を取り出して、それを鍵穴に差し込んだ。
「何? 家、誰もいねぇの?」
瀬那くんが不思議そうに尋ねる。
「うち母子だし。お母さんは仕事」
そう答えつつも、母子家庭じゃなくたって、共働きなんか珍しくもなんともないのにって思った。
「うちは、いっつも家に居る。ただ飯食いの役立たずが」
言って瀬那くんは、心なしか自嘲気味な笑みを見せる。
「今時、専業主婦の方が珍しんじゃない?」
何となくそう返して、玄関の扉を開けた。
追い付いて、引き留めるように瀬那君の袖を両手で掴む。
「見くびってもらっちゃ困るな。ほのちんよりは何億倍も知ってっからね? 早くほのちん、オープン、ザ、ドアー」
「『何億倍』って……」
心底呆れて、それ以上言葉を続けられなかった。
扉を右手人差し指で何度もタップしながら、「ピーンポーン、ピポピポピポ、ピーンポーン」などとやっている瀬那くんを眺めながら、
この人、若干18歳にして、一体何人の女を抱いてきたんだろう……。
なんてことを本気で思った。
渋々鞄の中から鍵を取り出して、それを鍵穴に差し込んだ。
「何? 家、誰もいねぇの?」
瀬那くんが不思議そうに尋ねる。
「うち母子だし。お母さんは仕事」
そう答えつつも、母子家庭じゃなくたって、共働きなんか珍しくもなんともないのにって思った。
「うちは、いっつも家に居る。ただ飯食いの役立たずが」
言って瀬那くんは、心なしか自嘲気味な笑みを見せる。
「今時、専業主婦の方が珍しんじゃない?」
何となくそう返して、玄関の扉を開けた。



