わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「ちょっと瀬那くん!」

反射的に、いつも通り反撃を開始しようとしたけど、すぐに思い留まった。



やっぱり、瀬那くんには感謝している。


わざわざ私を家まで送ってくれたし、(瀬那くんなりに)親身になって相談にものってくれた。

私が『黙って』って言ったら、本当に黙ってくれた。瀬那くんが、その存在を忘れるぐらい静かにしているなんて、奇跡と言っても過言じゃない。


いくら親友の彼女だとしても、普通はここまでしてくれないんじゃないかな。



「送ってくれてありがとね? 痕跡、探してみる」

やっぱりこういうことを男子に言うのは躊躇われるけど、意を決してそう伝えた。


「だったら俺が探してやるよ。その方が早い」

言って瀬那くんは、私が少し開けた門の隙間から、スルリと細身の身体を滑り込ませた。



「ちょ、待ってよ! 『その方が早い』とか、意味わかんない」

先を行く背中を追いながら、思わず声を張り上げていた。


でもすぐに、『感謝の気持ち、感謝の気持ち』と心の中で自分自身に言い聞かせる。



玄関扉の前で立ち止まり、クルンと身体ごとこちらを振り返った瀬那くん。


「男のセックス後の行動パターンを、ほのちんが知り尽くしてるとは思えんがな」

ふざけた口調でそう言って、不敵な笑みを浮かべた。