わたしとあなたのありのまま ‥3‥





瀬那くんの言う通りだ。

こんなこと出来れば考えたくないけど、冬以と本当にシちゃったんだとしたら、その痕跡がどこかにあったはず。



でもどんなに懸命にあの時のことを思い返しても、そんなものは無かった……気がする。確信できないところが残念だけど。


多分、ゴミ箱の中に見覚えのないティッシュの塊は無かった。

多分、秘部に違和感は無かった。


だけど、どちらも『多分』なんだよな……。



頭の中であれこれ考えているうちに自宅に到着し、門の前で立ち止まる。

と、ここでようやく、瀬那くんの存在を思い出した。



ゆるゆると隣を見上げればバチリと目が合う。視線の先のその人は、ニッと屈託なく笑った。


なるほど……。女遊びを止めても、未だ女子たちのハートを鷲掴んで止まない魅惑の笑顔だ。

悔しいけど、そんな風に思った。



「着いた」

とりあえず、わかりきっている事実を口にすれば、

「だな」

と、短い同意が返って来た。



「ありがと……ね?」


「何が?」


「家まで送ってくれたことや……その……アドバイス……的な……」

意図的に濁した言葉を、しどろもどろ口にすれば、

「ああ、ミクロなアイツら?」

と、曖昧にした部分をわざわざ明瞭にして、瀬那くんは聞き返す。