わたしとあなたのありのまま ‥3‥

抜群のタイミングで相槌を打ちながら聞いてくれていた瀬那くん。全てを話し終えると、ほんの少しの間を置いてから、ポソリと呟いた。


「要するに、ヤッたっていう確証は無いわけだ」


「なんなの? その楽観的考察。人が真剣に悩んでんのに」


思わずムッとして言い返す。


他人事(ひとごと)だと思って。でもまぁ所詮、瀬那くんにとっては他人事か……。



けれど瀬那くんは気分を害した様子もなく、

「ミクロなアイツらは、一体どこへ?」

謎の人物の行方を真面目くさった顔で問う。



「誰なの? しかも複数って意味わかんない」


「ホントにヤッたなら、その痕跡があるはずだろ?」


何となく『アイツら』の正体がわかって、唖然とする。



「やめてよ! こんな時に下ネタとか」


「ネタじゃねぇよ。確かにシモいけど。でも真実を究明するためには、どうしても必要な状況証拠だろ?」


確かに……。

もし本当に冬以とそういう行為をシちゃったんだとしたら、その痕跡がどこかにあるはずだ。



「ゴミ箱ん中にティッシュの塊とか……あっ、ヤツめ、ひょっとしてほのちんの中に?」


「もう! 今必死に思い出してんだから、黙ってよ」


あまりに生々しい表現に、思わず声を張り上げた。



ごめん、と。しょんぼり俯いた瀬那くんに、ほんの少しだけ胸が痛んだ。ほんの少しだけ。