「瀬那くん……親友を裏切るの?」
「俺は悠斗の味方でもある。要は二人の味方」
冗談ぽくそう言って、瀬那くんは悪戯っぽく笑った。
「ほのちんの敵は――
――悠斗じゃねぇだろ?」
責めるでもなく穏やかにそう言った瀬那くんの顔は、何故だか私よりもずっと辛そうに見えて。
じんと、胸の奥が熱くなった。
「家まで送る。それか、どっか行く?」
二つの選択肢からどちらかを、半ば強制的に選ばせるという……。瀬那くんは狡い。
だったら迷わず前者でしょう。
他愛のない会話を交わしていたけど、話題もすぐに尽きた。
重い沈黙の中、ポツリ、瀬那くんが独り言みたいに呟いた。
「無理強いするつもりはないけどさ、俺で良かったら何でも聞くし」
隣を見上げれば、正面を向いたままの整った横顔。本当に独り言だったのかもと疑いそうになる。
「峰さんに言えないことでも俺には言えたりするんじゃね?」
言い終えてからようやくこちらを見下ろし、瀬那くんはふわっと笑みを浮かべた。
思わず視線を逸らして俯いた。そうしながら随分長い間迷っていた気がする。
瀬那くんは、何も言わずに待っていてくれた。
二人の靴が、アスファルトをタップする音がやけに響く。
瀬那くんに聞いて欲しい。ただ純粋にそう思った。
最初は言葉を選びながら、戸惑いながらだった。けれど次第に、あまり深く考えず、思いの丈をつらつらと話せるようになった。
最終的には、頭の中にあるものがゴッソリそのまま、口を衝いて溢れ出していた。
「俺は悠斗の味方でもある。要は二人の味方」
冗談ぽくそう言って、瀬那くんは悪戯っぽく笑った。
「ほのちんの敵は――
――悠斗じゃねぇだろ?」
責めるでもなく穏やかにそう言った瀬那くんの顔は、何故だか私よりもずっと辛そうに見えて。
じんと、胸の奥が熱くなった。
「家まで送る。それか、どっか行く?」
二つの選択肢からどちらかを、半ば強制的に選ばせるという……。瀬那くんは狡い。
だったら迷わず前者でしょう。
他愛のない会話を交わしていたけど、話題もすぐに尽きた。
重い沈黙の中、ポツリ、瀬那くんが独り言みたいに呟いた。
「無理強いするつもりはないけどさ、俺で良かったら何でも聞くし」
隣を見上げれば、正面を向いたままの整った横顔。本当に独り言だったのかもと疑いそうになる。
「峰さんに言えないことでも俺には言えたりするんじゃね?」
言い終えてからようやくこちらを見下ろし、瀬那くんはふわっと笑みを浮かべた。
思わず視線を逸らして俯いた。そうしながら随分長い間迷っていた気がする。
瀬那くんは、何も言わずに待っていてくれた。
二人の靴が、アスファルトをタップする音がやけに響く。
瀬那くんに聞いて欲しい。ただ純粋にそう思った。
最初は言葉を選びながら、戸惑いながらだった。けれど次第に、あまり深く考えず、思いの丈をつらつらと話せるようになった。
最終的には、頭の中にあるものがゴッソリそのまま、口を衝いて溢れ出していた。



