わたしとあなたのありのまま ‥3‥





放課後、補修授業をサボる気満々の私は、さっさと帰り支度を済ませた。



「ほのかばっかズルいー!」

根拠も何もない言い掛かりをつけるナルちゃんの、両拳連打のポコポコ攻撃からなんとか逃げ延び、早々に教室を後にした。



門を出たところで不意に呼び止められた。


明らかに私を待ち伏せていただろうその人は、

「奇遇だね。ほのちんも補修サボり?」

と、白々しくそんなことを言ってニンと笑った。



完成されたカッコ良さが気に入らない。

多くの女子に、『瀬那くんにだったら遊ばれてもいい』と思わせてしまう、その端正な容姿と、無駄のないスタイリッシュさが鼻につく。



「やっぱ補修、受けてこよっと」

ボソリと小さく意思表明して、くるりと踵を返した。



「待てコラ」

すかさず手首を掴まれ、クイと遠慮がちに引き留められた。


躍起になって振り払うこともできたはず。

だけどそうしなかったのは、私の中のどこかに、瀬那くんを拒否していない自分がいたからだと思う。



「俺はほのちんの味方だって」

困ったような苦笑を浮かべ、柔らかい声音でそう言った瀬那くん。

私の中にポッと小さな安心感が生まれた。



みんなの前では毅然としていなきゃって、気を張っていたけど。


やっぱり辛い。心の奥底にあるわだかまりを誰かに聞いて欲しい。誰かを頼りたい。