わたしとあなたのありのまま ‥3‥

けれど、

「名前とクラス」

武井が唐突にそんなことを言うもんだから、

「はっ?」

瀬那くんは驚いたようにバサッと顔を上げ、すっかり素に戻って教壇を振り返った。



「だから、お前の名前とクラスを言えって」


『バレてたぁー』

こちらに向き直り、口の動きだけで私に訴えてきた瀬那くんに、

「当たり前だろ」

と冷ややかに返す。



「早く、名前とクラス言え。授業始めらんねぇだろーが」


武井の有無を言わさぬ口調に、瀬那くんは素早く立ち上がる。そうしてピシッと気を付けをして、


「3年6組、二階堂照哉でっす!」


あろうことか照哉くんに罪をなすりつけやがった。



こっそり綾子を盗み見れば、冷ややかに目を細めてこちらを見ていた。

こっわー。



「3年8組、鏑木瀬那。不法侵入と事実詐称で、こりゃお仕置きだなぁ。この一件に関する処分は、担任の鵜飼先生に一任する。帰ってよし! さ、授業はじめっぞー」