何だよ、田所。
てっきり待ってくれていると思ったのに。きっと待ち焦がれていると思ったから、大急ぎで帰って来たのに。ちょっとだけ小走りだってしてやったのに、チキショー。
田所がもうここに居ないんだったら、私にだってここに居る理由がない。
トボトボと私も渡り廊下に向かって歩く。いつもそこから教室へ戻るから。
校舎内の廊下を俯きがちに歩いていると、
「おっ、秋山じゃん。何? 今日は一人?」
男子生徒が擦れ違いざま、ご機嫌なテンションで声を掛けて来た。
立ち止まって振り返れば、同じクラスの『クチビル』くん。もちろんそんな名前じゃないけど。唇がやけにぶっといから、みんなそう呼んでいる。
本人は「セクシーだろ?」なんて。凄く得意気だから、どうやら気に入っているっぽい。
その幸せプラス思考、ほんの少しでいいから私にも分けて欲しい。
てっきり待ってくれていると思ったのに。きっと待ち焦がれていると思ったから、大急ぎで帰って来たのに。ちょっとだけ小走りだってしてやったのに、チキショー。
田所がもうここに居ないんだったら、私にだってここに居る理由がない。
トボトボと私も渡り廊下に向かって歩く。いつもそこから教室へ戻るから。
校舎内の廊下を俯きがちに歩いていると、
「おっ、秋山じゃん。何? 今日は一人?」
男子生徒が擦れ違いざま、ご機嫌なテンションで声を掛けて来た。
立ち止まって振り返れば、同じクラスの『クチビル』くん。もちろんそんな名前じゃないけど。唇がやけにぶっといから、みんなそう呼んでいる。
本人は「セクシーだろ?」なんて。凄く得意気だから、どうやら気に入っているっぽい。
その幸せプラス思考、ほんの少しでいいから私にも分けて欲しい。



