「おーい授業始めっぞー、席着けー」
現国の武井の覇気のない声で、みな一斉に自分の席へと戻る。
瀬那くんはというと、すかさずその場にしゃがみ込んだ。両手は私の机の端にチョコンと掴まって。
それで隠れているつもりですか……。
教壇に立った武井は、手にした教科書をバララッと捲りながら、
「そこっ、はよ席戻れ」
瀬那くんに向かって言う。
「無理です。僕の席、ここにはないです」
瀬那くんはじっと固まったまま、武井の方を見ることもせず口だけを動かした。
「なんだお前、いじめられてんのか?」
至極どうでも良さそうに武井は言った。
このご時世、いじめなんか発覚したら大問題でしょうに。
ドッと教室に笑い声が沸く。
そしてすぐ傍から、すん、すん、と規則的に鼻をすする音が聞こえてきた。
見れば瀬那くんが、私の机の端っこに引っ掛かっている自分の指に額をくっつけて俯き、ひくっひくっと肩を跳ねさせている。
見え透いた嘘泣きに対して武井は、
「おーおー、可哀想になぁ」
憐れみの言葉を掛けるも、全く感情がこもっていない。
現国の武井の覇気のない声で、みな一斉に自分の席へと戻る。
瀬那くんはというと、すかさずその場にしゃがみ込んだ。両手は私の机の端にチョコンと掴まって。
それで隠れているつもりですか……。
教壇に立った武井は、手にした教科書をバララッと捲りながら、
「そこっ、はよ席戻れ」
瀬那くんに向かって言う。
「無理です。僕の席、ここにはないです」
瀬那くんはじっと固まったまま、武井の方を見ることもせず口だけを動かした。
「なんだお前、いじめられてんのか?」
至極どうでも良さそうに武井は言った。
このご時世、いじめなんか発覚したら大問題でしょうに。
ドッと教室に笑い声が沸く。
そしてすぐ傍から、すん、すん、と規則的に鼻をすする音が聞こえてきた。
見れば瀬那くんが、私の机の端っこに引っ掛かっている自分の指に額をくっつけて俯き、ひくっひくっと肩を跳ねさせている。
見え透いた嘘泣きに対して武井は、
「おーおー、可哀想になぁ」
憐れみの言葉を掛けるも、全く感情がこもっていない。



