わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「さて、ほのちん」

立ったまま私を見下げて、瀬那くんは妙に改まった口調で言う。


「全部話してもらおうか」

そう続けて、瀬那くんは悪戯っぽく笑った。

小悪魔的なその微笑は、油断すると見惚れてしまうほどに魅力的だ。


全てにおいて、いちいち計算されているんじゃないかと疑うほど、ビジュアル的には完璧な瀬那くん。


とにかく無性に腹立たしい。



「どうして瀬那くん『なんか』にっ!」


ぶうっとふて腐れて返せば、


「『なんか』だとー?」


言いながら、ブレザーのサイドポケットから自分のアイフォンを取り出した。


瀬那くんのアイフォンには、小さな懐中電灯がくっついたストラップがぶら下がっている。それを親指と人差し指で摘まんで、私の面前に突きだした。



「吐け、吐いて楽になっちまえ」

言って、どこかのスイッチを押したのか、小さな懐中電灯がチカッと弱々しい光を放った。



「へぇ……何で携帯にそんなもん付けてんだろって、ずっと不思議だったんたけど、そういうことに使うためなんだ」


「使わねぇよ」


すかさず否定して、瀬那くんは面白くなさそうに、再びそれを元の場所に戻した。