すかさず綾子にメールを送る。

『照哉くんに余計なこと言ったら、末代まで呪ってやる』


しばらくして、

『呪えば?』

と返ってきた。


むっかぁー!



綾子を止めたいけど追いかける気にもなれず。

教室に残された私は、窓際へ移動して外を覗いたり、席に戻ってスマホを弄ったり、そわそわしながら落ち着きなく過ごした。



綾子が教室を出て行って10分ぐらい経った頃、大切に握りしめていたスマホが着信を告げる。

画面に表示されている発信者の名前は予想通り綾子。



うーん、出たくない。だけどあっちの様子がすごく気になるのも事実。

渋々ボタンを押して、スマホを耳元へ持っていけば、

『しもしもー』

やけに朗らかな……というかふざけた声。それは綾子ではなく男のもの。


少し掠れていて、細いけど低いこの声の主は……。



『乙女の味方、瀬那くんですよー』


――やっぱり瀬那くん。



「瀬那くんなんか味方につけても全然心強くないし」

イラッときて、思わず毒を吐けば、

『おいキミ、何か勘違いしてないかい? 僕は乙女の味方だよ? つまりこれ、ほのちんの味方ではないってことだよね?』

遠まわしに私のことを『乙女じゃない』と言ってきやがった。


意味もなく神経を逆なでする男、それが瀬那くん。