わたしとあなたのありのまま ‥3‥

進藤くんの眼鏡が吹っ飛んだ。



「あ、ごめん」

咄嗟に謝れば、進藤くんは「僕の方こそゴメン」と寂しそうに呟いて、ようやく私を解放してくれた。



正しい位置にある、目、鼻、口に唖然とした。イケメンじゃないか、進藤くん。



落ち着いた動きで地面に転がった眼鏡を拾い上げると、進藤くんはその整った顔をすぐにそれで隠してしまった。



「返事は今すぐじゃなくていいよ。僕はいつまででも待てるから。もう既に随分待ったしね。一人で勝手に、だけど。もっと早く伝えたかったんだけど、どうしても勇気がなくて」

言って進藤くんは、はにかんだ笑みを見せた。



どうやら、悪い人ではないみたい。むしろ、いい人っぽい。


『野花』とか……褒める時の例えはビミョーだったけれども。