不意に進藤くんが私の腰に両腕を回して来た。そうしてグイと抱き寄せられる。
「ちょ、ちょっとぉ」
咄嗟にその二の腕を掴んで、進藤くんの身体を押し離そうとした。けれど、意外にガッシリとしたそれは、私の力なんかじゃビクともしない。
勉強ばっかりやっている訳じゃないのかな、なんて。どうでもいいことをふと思ったり。
「一度でいい。一度だけ僕とデートしてくれない? 秋山さんは僕のこと何も知らないでしょ? それなのに断られるなんて、僕は納得いかない」
「え? そんなの進藤くんだって一緒じゃん。私のことなんか何も知らないでしょ?」
すかさずそう言い返したけど、そんなの進藤くんは聞く耳持たずで。
「デートして、それでも秋山さんが、やっぱり田所くんのことが好きだって言うなら、僕は潔く諦めるよ。だから……」
「ちょっと、放してってば。いいから放し……」
胸板を叩いたりしてもがいていたら、私の手が進藤くんの顔に当たってしまった。
「ちょ、ちょっとぉ」
咄嗟にその二の腕を掴んで、進藤くんの身体を押し離そうとした。けれど、意外にガッシリとしたそれは、私の力なんかじゃビクともしない。
勉強ばっかりやっている訳じゃないのかな、なんて。どうでもいいことをふと思ったり。
「一度でいい。一度だけ僕とデートしてくれない? 秋山さんは僕のこと何も知らないでしょ? それなのに断られるなんて、僕は納得いかない」
「え? そんなの進藤くんだって一緒じゃん。私のことなんか何も知らないでしょ?」
すかさずそう言い返したけど、そんなの進藤くんは聞く耳持たずで。
「デートして、それでも秋山さんが、やっぱり田所くんのことが好きだって言うなら、僕は潔く諦めるよ。だから……」
「ちょっと、放してってば。いいから放し……」
胸板を叩いたりしてもがいていたら、私の手が進藤くんの顔に当たってしまった。



