「だから、僕は田所くんじゃなく秋山さんに……」


「よくない」


進藤くんの言葉を途中で遮って、私も断固拒否。



私に何の用があるのか見当もつかないけど、田所とのハッピーラブラブタイムを邪魔されて、ホイホイついていく訳ないでしょーが。


でも何故だか、私のその一言で場の空気が緊迫する。何なの? この気持ち悪い静寂。



やがて、フウと一つ息を吐いた田所が沈黙を破った。


「という訳だ。悪いけど気ぃ利かせてくれる? 進藤くん」

嫌味なぐらい丁寧な口調で田所が言った。



「僕に気を利かせる理由なんかないよ。だって僕は、敢えて、二人の邪魔をしに来たんだから」


進藤くんは意味不明なことを、自信に満ち満ちた真面目顔で言う。異国語じゃないかと疑うほどに、崩壊した日本語だ。