「ちょっといいかな？」

突然に声を掛けられ、田所と二人してその声の方へ視線をやった。


ヒョロッとした眼鏡男子が、いつの間にやら目の前に佇んでいた。

ちょっとビックリ。そして、誰？


見たことはあるけど、喋ったこともなければ、名前も知らない。頭は良さそう。食事、睡眠以外はずっと勉強していそう。



腹筋使って跳ねるように半身を起こした田所。

「何？　進藤(ｼﾝﾄﾞｳ)」

露骨に面倒臭そうな顔をして、ボソリと低い声で尋ねる。



なんだ、田所の知り合いかぁ。お友達ではなさそうだけど。



「いやゴメン。僕は田所くんにではなく、秋山さんに用があるんだ。秋山さん、ちょっといいかな？」


「よくない」

すぐさま、駄々っ子のようにふて腐れて返す田所。