「間違って……ないです」

渋々答えれば、「だろ?」なんて満足そうに微笑んで、田所はようやく元通り顔を横向けてくれた。


寂しいと同時にホッとしている自分。いつまでたっても、この傲慢な俺様男に恋い焦がれている自分。もうこれ以上好きになるのなんか、ほんと不可能じゃないの? って思うのに、それでも好きが溢れて止まらない自分……。



そのうち私、このはち切れそうな恋心に食われてしまうんじゃないかな。

もう既に、身も心も乗っ取られている気がする。



「じゃあさ、田所の全部も私のもんでしょ? なんで私は触っちゃ駄目なんだよー」

両手で田所の右肩を掴んで、グラグラ揺すってやった。



「俺の全部は俺のもの」

目は閉じたまま、シレッとそんなことを言う。



お前は『ジャイ●ン』か!