わたしとあなたのありのまま ‥3‥

「何言ってんの? 勝たなくていんだよ? そんな必要ないじゃん。だって――

――私の彼は田所なんだから」


こんのヘタレ彼氏! どうして私が慰めてやんなきゃいけないの? と、腹の底では不満に思いながら、でも取り敢えずは、冬以より田所の方がいかに有利かってことを、彼はすっかり忘れているみたいなので、優しく教えてあげた。



ゆるり、田所が顔をほんの少し上げた。そうして、頭を抱えた腕の隙間から、じっとりした上目使いで私を見る。



「な……に?」


「お前……『アイツに抱かれてみたい』って、一瞬でも思ったろ?」


「はっ? 何言ってんの? んな訳ないじゃん」



何血迷ってんだ、と。ふざけんな、と。頭わいとんのか、と。


思うこと多々有りですけども、そこはグッと堪え、慎重に選んだ言葉だけを口にする。



「私別に、エッチそのものが好きな訳じゃないよ。田所だから……田所が大好きだから、触れたいと思うし、キスもしたいし抱かれたいとも思う。でもそれは、誰でもいい訳じゃなくて……」