わたしとあなたのありのまま ‥3‥

と、背後の田所の気配が突如消えて、それにハッとして、


「ちょっと! なんで黙ってんの?」


文句を言いながら勢い良く振り返った。



あれ? 居ない?



視界の下の方に大きな黒っぽい塊が映っているので視線を落とせば、田所は両手で頭を抱えてしゃがみ込んでいた。



――まさかの撃沈。


嘘でしょ?



私も腰を落として向かい合うようにしてしゃがみ、


「田所?」


恐る恐る声を掛けてみる。


田所は蹲ったまま、んー、と苦しげな呻き声みたいなのを小さく漏らした。



「ねぇ、田所ってば」


今度はその肩に触れて、軽く揺すってみた。そしたら――


「俺、アイツに勝てる気がしない」


頭を抱え込んだたまま田所は、ボソリ、力なく呟いた。