わたしとあなたのありのまま ‥3‥

冬以はチラと校舎の方に視線をやると、


「そろそろ俺、帰るわ。腹減ったし」


言って、顔をくしゃりとさせて笑った。

そうして、続きはまた今度ね、などとちゃっかり言い残して、こちらに背を向けた。



次第に遠ざかる、冬以の整ったシルエットを眺めていて、ふと思う。


今、何時?


振り返って校舎の時計を見れば、午後1時17分。もう間もなく五時限目の授業が始まる。



ああ、だから……。

冬以は突然に話を切り上げたんだ。



甘い言葉も、何気ない気配りも、全てに於いて完璧な冬以。それに引き換え、私の最愛の人、田所は……。