その日もベンチに二人並んで腰掛けて、花も咲かないくだらないトークで時間を潰していた。


まぁそれでも私は、山の天辺にいるぐらい幸せ気分なんですけども。




「あー『ドロケイ(泥棒警察)』やりてっ」

田所が誰も居ないだだっ広い運動場を眺めながら、退屈そうに呟いた。



田所は、私といてもつまらないのかも知れない。

長所どころか特徴すらない私。田所がそんな私とどうして一緒に居るのか、未だに謎。



もちろん、私の方が好きになって、邪険にされても執拗に付き纏って、押して押して押しまくった結果なのだけど、それでも田所にだって選ぶ権利はある訳で。



だってこれだけの美形だから、田所さえちょっとその気になれば、引く手数多のはず。