「ちょっと…聞いてるの?」






『……よ』





「なに?」






『黙れよ。
何で縁切ったテメェの決めた奴と結婚なんてしなきゃなんねぇんだよ!?』






「だから仕送りもちゃんとしてあげたでしょう?
今まで生活できたの、誰のおかげだと思っているの?」






『俺だって人間なんだぞ?
大切な女だっているんだよ。守りてぇ女だっているんだよ!!』






「…あらそう。
そんな事言っておいて後悔しても知らないからね。」







ババァはそう言って家から出て行った。






俺はババァの最後の捨て台詞なんて気にもしていなかった。

この言葉がこの後起こる事件の始まりの合図だとも知らずに…