栗原は不安そうな顔をしてた。
おまえが俺の気に入らないことしてるのが悪ぃんだ!
チッ──
足は自然と校舎の裏に向かっていた。
ここはなんだかんだ落ち着く。
「ここにいたんだ!」
圭か。
「…んだよ」
「コクった」
「誰にっ?!」
「ぷっ、そんなに血相変えないでよ、紅葉ちゃんだよ」
「マジで?」
板野であることに安心感を覚える俺がいる。
マジでコクったんだ。
「返事は?」
「体育祭のあと」
「…ふーん」
「見本見せたから祐也もコクるよな♪」
はっ?!
「見本ってなんだよ、まだ返事もらってないだろ?」
「祐也はコクってもいないよね?」
──っっぅぅっ!
痛いとこつかれてる。
確かにそうだ。
さっき圭と栗原が話してるときも俺は嫉妬してた。
圭は栗原は、好きじゃない。
栗原はわからないけど、
好きじゃなければ俺が好きにさせればいい。
とにかく、人にとられたくない。
そう強く思った。
「俺もマジでコクる」
「いつ?」
そんなの決まってる。
「今だよ」


