風をきって走る。
祐也君、祐也君───
こんなに叫びたいのになんで叫べないんだろう。
その理由はわかってる。
叫びだしたら、
とまらなくなってしまうから。
好きで好きで仕方がない君への想いが、
あふれてしまうから。
叫べない代わりに、
君を追います。
祐也君はいつのまにか一位になってゴールした。
速い、速すぎるよ!!
ほんとに一位になった!
祐也君のおかげだよ。
みんなが祐也君の周りに集まる。
応援していたクラスの人も喜んで駆け寄る。
でも、あたしは──
もうほんとによくわかんないけど、
駆け寄ることができなかった。
やっぱり、あの素っ気ない態度が気になったから。
もう嫌われちゃったのかもしれないから。


