イタズラな笑顔


あ、祐也君だ。



「祐也君」



なんで名前を読んだのかは、わからない。



ただ、呼びたかっただけ。



ただ、話したかっただけ。




やっぱあたし、祐也君のこと好きなんだろうなぁ。



「栗原もう平気なん?」



「…心配してくれたの?」



「…別に」



目をそらしながら言う。



ねぇ、心配してたって言ってよ。




なんで目をそらすの?




その意味を教えて――




苦しいよ――






「午後…出られるんだろ?」




「うん、あと女子の玉入れだけだよ」




「そか。俺はまだ3種目余ってるから」




「うん…頑張って」



「あぁ…」






なんか、ぎこちない。




なんか、苦しい。





なんで?