「次、美樹だよ」



紅葉が背中を押してくれる。



「紅葉、あたし頑張るね!」



「うん!!」



紅葉はすごく可愛く笑った。



あたしの前の走者が走り出した。



よし、あたしの番だ!







前の走者の子が近づいてくる。






あたしはバトンを受けとる体勢をとった。






間近にせまる。






「栗原っ」




パシッ!






あたしはバトンをしっかり受け取って走り出した。





この前体育でやったときとは全然違う。






早く走れてる気がするし、






何より、楽しい。






みんなの声援も聞こえる。





意外とあっという間で、次の子にバトンを渡した。




なんとあたしは、誰にも抜かされずに走りきれた。





「はぁ、はぁ」




走りきったところにいる同じクラスの子たちがあたしにかけよってきた。



「美樹、早かったよ!」


「栗原よくやったなー!」


その中に圭君もいた。



「美樹ちゃん、頑張ったね!きっと祐也喜ぶよ」



「え、何でそんな…?」



あれ………?


「あ、なんでもなーい、ごめん、ご…」



なんか………



「美樹ちゃん?!」









暗い…







圭君…





紅葉…





祐也君…